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バレンタインですね!!!!!チョコください!!!!!!
チョコじゃなくていいんでマツバとか准将とかキングとかエイトとかくださいだれか。

ほんとはねー、ナイン誕もバレンタインも何か書きたかったんだけどねー、レポートがねー(しろめ
ということで適当にバレンタインな小ネタをば。
ナギお相手で ナギ(→)主→誰か な悲恋テイストになっておりまする。現パロっぽい。
そしてナギが大分黒いというか酷い。酷い。大事なことなので2回言いました。
よろしければ追記からどうぞ。




 チョコレートなんて、嫌いだ。毎年この時期になるとどこからともなく甘ったるい匂いが漂ってきて気分が悪くなる。勿論、それを表に出したりなんてすることは無い。
 渡される包みを笑顔で受け取ってやれば、皆満足したように去って行く。どうせ義理だってのに断ると微妙な顔をするんだから女っていうのは面倒臭い。無駄に波風を立てるのも何だからとこうして嬉しそうな顔で受け取ってはいるが、どうせ家に帰ったら全部まとめてゴミ箱行きだ。包みを開ける気すら起きない。そもそも俺が甘いものを好まないことを知っている奴はいるのだろうか。そんなことを考えて、いたらわざわざ渡して来ないかと自己完結。どうせそれで何が変わるというわけでもない。
「うっわ、今年も凄いね」
 突然横から現れた女の姿に溜め息を吐く。幼馴染というか腐れ縁というか、かなり幼い頃から一緒にいたが、この神出鬼没なところはどうにかならないものか。以前それを言ってみたらお互い様だと言われたが、別にそんなことはない、と、思う。
「両手にチョコでいっぱいの紙袋持ってそんな顔してる男の人見たこと無いんだけど。やっぱりそれ捨てちゃうの?」
「……ああ」
 そういえば、こいつは知っていたんだった。知っていて、毎年毎年こうして幾人もの好意(というのかは微妙なところだが)を受け流しゴミ箱に投げ入れる俺を、特に非難するでもなくただ眺めている。最初は咎められたような気もするが、それも歳を重ねるごとに諦めと呆れに変わっていった。
「もったいないなあ」
「じゃあお前が食えば? 欲しいならいくらでもやるけど」
「私はいいよ」
 こんなやりとりも、もう何度目だろうか。当然ながら、彼女は俺にチョコレートを寄越したことなんかない。友達と交換するんだとかなんとか言って作っているのを見たこともあるが、その時も何かを渡されることはなかった。そんなのは当たり前だけれど。
「……ねえ、ナギ」
「なんだよ」
「私ね、振られちゃった」
 思わず、手に持った紙袋を落としそうになった。プラスチックの持ち手をしっかりと握り直し、足元を見据えて歩く彼女を凝視する。俺の視線に気付いているのかいないのか、その目が爪先以外を映すことはなかった。何と言えばいいのかも分からず、無言で隣を歩く。ふと、目に入った小さな公園。腕も疲れてきたしちょっと座ろうぜと誘ってやれば、小さな頷きが返ってきた。

 時間にして、十数分。相手の男との出会いから恋心とやらの自覚、そして現在に至るまでをぽつりぽつりと話された。正直言ってそんなことはどうでもよかったし、相手が誰なのかも興味はなかった。けれど今にも消えてしまいそうな雰囲気で話すものだから、俺も引くに引けない状態になってしまったのだ。
 今思えば、寄り道なんてせずにまっすぐ家に帰っていれば良かった。話を聞いてやろうなんて思わなければ良かった。正体の分からない靄のようなものが胸中を覆い尽くす。それは掴めもしない癖にぎりぎりと心臓を締め付けてきて、どうして俺がこんな思いをしなきゃならないんだと声には出さずに悪態をついた。
「ねえ、それ、捨てるんでしょ?」
 言い様のない感覚をどう処理するべきかと考え込んでいると、不意にそんな言葉が投げ掛けられる。何のことだと彼女を見遣ると、その瞳は俺の横を陣取っている大量の甘味を映していた。
「ああ。さっきも言っただろ」
 そんなことより今はこの渦巻く靄をどうにかしたくて、半ば吐き捨てるように返事をする。そんな俺を気にした様子もなく、彼女は「そっか」と呟くと、徐に鞄の中から一つの包みを取り出した。落ち着いた色の包装紙と幾重にも絡まった細いリボン。それが何であるかなんて聞かなくても分かった。
「荷物増やしちゃって悪いんだけど、これも一緒に捨てといて?」
 そう言った声は少し掠れていて、しかし俺が何かを言う前に彼女はそれを俺の手に握らせて公園の出口へと走って行ってしまった。
 なんとなく、手中のその箱を眺める。いくら捨ててくれと言われたからって勝手に他人への贈り物を開封するのはどうかとも思ったが、そんなことは知るかとリボンを解いた。どうせ捨てるんだ、それに、頼まれた俺が何をしようと俺の勝手だろう。そう言い聞かせながら蓋を外すと、甘ったるい匂いが風に乗って運ばれてきた。それに眉を顰めつつ、綺麗に並べられたチョコレートの一つを手に取る。泣き出しそうなあいつの表情と震える声がフラッシュバックして、何故だかどうしようもなく苛立って、数年間口にすることのなかった塊を、口に運んだ。想像していた通りの甘さが口内を支配し、意図せず顔が歪む。
「……甘すぎなんだよ、馬鹿」
 ああ、チョコレートなんて、大嫌いだ。





Unhappy Valentine...?

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